2015.9.23-24
槍ヶ岳のテント場は、実は初めてだ。
山荘に泊まったのも、前年に一度あるきりだ。
このテント場は楽しみの一つだったが、天気が荒れていない限り、テント泊の醍醐味を味わえる、天空の憩いと一夜。
大喰岳を望む一等地。

今宵の宿は、こんなところに。

3時間ほど、のんびり、ビールの酔いを醒まし、昼寝したり、ぼんやりと過ごした後、15時半過ぎ、穂先に出かける。
西岳の稜線と、奥に東天井岳から横通岳。

これは、常念乗越の常念小屋だ。

東鎌尾根を見下ろすと、ヒュッテ大槍の赤い屋根が。

穂先へよじ登っていくと、小槍の上ではしゃぐ人たちが見えた。

夕刻近く、それほど人は登っていない。

半月かあ。。

てっぺんへの最後の二連梯子。

槍ヶ岳山頂。
成し遂げたね。と思うが、なんとなく、坦々としていて、まるで日常のように時が過ぎる。


気が付くと、頂上には、ほかに誰もいなくなった。
何度も来ているが、こんなことは、今までなかったような気がする。
かといって、どうということでもない。

穂高への稜線には、雲が浪のように湧いている。

穂高も、頂稜がかすかに。

好天は、今日で最後だなあ。

大天井岳から東天井岳の稜線

雲海の上に浮かぶ、旭岳、白馬岳、白馬鑓が岳。

あれが、劔岳と立山。重なっている。右に八つ峰が落ちているのがわかる。

望遠で見る。はるかかなただ。
あそこを出て、今日で五日目。のんびり、歩いたんだな。

西鎌、薬師、雲の平方面は、雲の中だ。

少し、顔を出した、奥穂高岳とジャンダルム。

雲が取れて、鷲羽岳、水晶岳、野口五郎岳、ずっと奥に、劒、立山。



テント場を見下ろす。楽しい。

頂上には、30分もいた。
そして、ゆっくり降りてきた。
誰もいないと、鎖場も、なんとなく、怖い感覚があった。

さて、今宵の我が家。


ドライカレーとスープ。
こんな飯も、今日が最後。明日は、下界でまとも飯。

雲海と、今日までの旅路に思って、お茶タイム

夜
風は少し出たものの、天候悪化といっても、半月の月明かりに、雲の広がりが見えるだけだ。
縦走の最後の夜、テントでの就寝も、からだには優しくない。
ゆっくり、布団で寝られる、明日には。
翌朝、これまでのような早出ではない。上高地へ下るだけ。
ご来光を待っての出発だ。
朝食をとる。海藻を入れた、ラーメン。

広がる雲の下を、明るくなった東の空から、陽光が漏れてくる。
雲海の上に浮かぶ、島のように、浅間山、八ヶ岳が並ぶ。右端には、富士山も。

槍ヶ岳の穂先は、いまだ、闇に包まれている。

テントを撤収し、身支度を整えて、槍ヶ岳山荘前に戻る。
建物に暁の光が当たっている。

浅間山

ご来光はまだだが、5時22分、下山を始める。
ちゃんと踏み跡を見ていない人は、東鎌尾根のルートに入ってしまう。時々あるという。

富士山と、南アルプス。

浅間山と、手前に常念岳から横通岳。

走るように下る。

朝日が顔を出し、振り返る大喰岳の山肌が、赤く染まって、まぶしい。


あっかるーい

山荘にも、直接光が当たりだした。

槍の穂先も。

殺生ヒュッテまで降りてきた。20分。


あっという間に雲が上空を覆い、平板な曇り空となった。

坊主岩小屋 35分。


槍沢の氷河谷へ。

すっかり、色づいたな。


氷河公園(天狗原)分岐 ジャスト1時間。





大曲り。水俣乗越分岐。1時間半。

こんな感じになると、ババ平も近い。

ババ平のテント場には、新しいトイレが建設中だった。1時間50分。



槍見岩 2時間5分。

槍沢ロッジ。人影も少なく、静かだ。2時間10分。10分間休憩。


くもり空の下、下山の足を速める。



二の俣の橋


一の俣の橋




槍見河原 初めてここに来た時の、槍の穂先が木々の間から見えた感動は、青春の独特の味とともに覚えてる。



槍沢と本谷を隔てる尾根が高度を落とし、やがて末端となって、屏風岩がのぞくようになると、横尾もすぐだ。

谷の奥に、南岳がそびえる。


横尾。多くはないが、登山者で賑わっている。3時間20分。10分間休憩。
自動販売機で、缶コーヒーを買って飲む。山であまりしないことをしてしまった。

前穂高を見ながら、上高地へ向かう。
先はまだまだ、長いな。でも、この長丁場のラスト。黙々と足を進めるだけだ。


新村橋


徳沢園。シルバーウィークも中休みの平日。人影は、徳沢にしては少ないのだろう。4時間20分。5分休憩。






明神館。5時間10分。5分休憩。


当然ながら、明神岳を見上げる。

静かな道だ。上高地の静けさ。


梓川、河童橋と奥穂高、岳沢。よほど、存在感のある、絶景ポイント。
残念ながら、曇天の平板な光。

上高地バスターミナル。ついに、雨が降ってきた。出発して、6時間。
さて、徒歩の旅は終了だ。室堂から上高地。よく歩いたもんだよね、とは思うが、別に特別なことでもないし。
いつもの山の延長線だし、が正直な感想。
毎日、テントを出て、いつも歩くように、山を上り下りし、またテントに泊まり、再び、歩く。
その行為には、何の特別感もない。つなげただけ。
でもね、歩けるもんだよね。

30分ほど待ち、バスに乗る。
乗ったことのない、島々へのバス。今日は沢渡では降りない(笑)

1時間と少しの乗車で島々に着くと、すっかり、雨だ。
しばらく待って、松本への電車に乗る。地元の人が乗ってくると、日常生活感に支配され、少し戸惑う。

松本電鉄の電車は、30分で松本に着く。そこでJR大糸線に乗り換える。
信濃大町までは1時間かかる。

信濃大町駅。
雨の降りは本降りだ。

山の格好をして、扇沢へのバスに乗れば、これから登ると誰でも思うだろうが、そうではない。。。
いや、ほかにほとんど乗客はなく、運転手だけが、仕事でハンドルを握っている。

ざあざあ降りの中、35分で扇沢に。
振出しに戻ってきた。賑わっていた扇沢でなく、雨の中、人影はまばらな扇沢だ。


無料駐車場への歩行路を下っていく。傘がいる。

戻ってきた。
下山後、この車回収に、4時間、4480円かかった。。
ちなみに業者に車の回送を頼むと、1万円はくだらない。

坦々と走り、大町温泉豪へと向かう。
薬師の湯が今回の入浴場所だ。

室堂を雨具を着て出発し、ほどなく晴れた、この山旅のプロローグだったが、そのエピローグは、雨のぱらつきだした上高地バスターミナルへの到着だった。
普段では望むべくもない、6日間にわたるこの縦走期間すべての、雨なし好天。
ぎりぎり、6日間だけ雨がなく、天気の日々に、この山旅計画を完遂できたのは、幸運というほかはない。
計画した劔岳の一日を削って、結果は、絶好のお天気を絶好の日に割り当てられた。
劒へ行っていれば、槍ヶ岳への最後のアプローチは途中から雨降りだっただろう。それはきつい。
最大限に、存分に思いを遂げられた、感謝感謝。。
正直に言うと、確かに、よく成し遂げたなという満足感は強いが、先輩たちが、30‐40キロのキスリングの重さに耐え、
仲間と励ましあいながら、長躯、旅した当時の喜び、満足感には、及ばないのだなと、思う。
でも、発達した装備に頼らせてもらうが、また、次の夢回帰を、考えようと思う。
ミッション、コンプリート。
槍ヶ岳のテント場は、実は初めてだ。
山荘に泊まったのも、前年に一度あるきりだ。
このテント場は楽しみの一つだったが、天気が荒れていない限り、テント泊の醍醐味を味わえる、天空の憩いと一夜。
大喰岳を望む一等地。

今宵の宿は、こんなところに。

3時間ほど、のんびり、ビールの酔いを醒まし、昼寝したり、ぼんやりと過ごした後、15時半過ぎ、穂先に出かける。
西岳の稜線と、奥に東天井岳から横通岳。

これは、常念乗越の常念小屋だ。

東鎌尾根を見下ろすと、ヒュッテ大槍の赤い屋根が。

穂先へよじ登っていくと、小槍の上ではしゃぐ人たちが見えた。

夕刻近く、それほど人は登っていない。

半月かあ。。

てっぺんへの最後の二連梯子。

槍ヶ岳山頂。
成し遂げたね。と思うが、なんとなく、坦々としていて、まるで日常のように時が過ぎる。


気が付くと、頂上には、ほかに誰もいなくなった。
何度も来ているが、こんなことは、今までなかったような気がする。
かといって、どうということでもない。

穂高への稜線には、雲が浪のように湧いている。

穂高も、頂稜がかすかに。

好天は、今日で最後だなあ。

大天井岳から東天井岳の稜線

雲海の上に浮かぶ、旭岳、白馬岳、白馬鑓が岳。

あれが、劔岳と立山。重なっている。右に八つ峰が落ちているのがわかる。

望遠で見る。はるかかなただ。
あそこを出て、今日で五日目。のんびり、歩いたんだな。

西鎌、薬師、雲の平方面は、雲の中だ。

少し、顔を出した、奥穂高岳とジャンダルム。

雲が取れて、鷲羽岳、水晶岳、野口五郎岳、ずっと奥に、劒、立山。



テント場を見下ろす。楽しい。

頂上には、30分もいた。
そして、ゆっくり降りてきた。
誰もいないと、鎖場も、なんとなく、怖い感覚があった。

さて、今宵の我が家。


ドライカレーとスープ。
こんな飯も、今日が最後。明日は、下界でまとも飯。

雲海と、今日までの旅路に思って、お茶タイム

夜
風は少し出たものの、天候悪化といっても、半月の月明かりに、雲の広がりが見えるだけだ。
縦走の最後の夜、テントでの就寝も、からだには優しくない。
ゆっくり、布団で寝られる、明日には。
翌朝、これまでのような早出ではない。上高地へ下るだけ。
ご来光を待っての出発だ。
朝食をとる。海藻を入れた、ラーメン。

広がる雲の下を、明るくなった東の空から、陽光が漏れてくる。
雲海の上に浮かぶ、島のように、浅間山、八ヶ岳が並ぶ。右端には、富士山も。

槍ヶ岳の穂先は、いまだ、闇に包まれている。

テントを撤収し、身支度を整えて、槍ヶ岳山荘前に戻る。
建物に暁の光が当たっている。

浅間山

ご来光はまだだが、5時22分、下山を始める。
ちゃんと踏み跡を見ていない人は、東鎌尾根のルートに入ってしまう。時々あるという。

富士山と、南アルプス。

浅間山と、手前に常念岳から横通岳。

走るように下る。

朝日が顔を出し、振り返る大喰岳の山肌が、赤く染まって、まぶしい。


あっかるーい

山荘にも、直接光が当たりだした。

槍の穂先も。

殺生ヒュッテまで降りてきた。20分。


あっという間に雲が上空を覆い、平板な曇り空となった。

坊主岩小屋 35分。


槍沢の氷河谷へ。

すっかり、色づいたな。


氷河公園(天狗原)分岐 ジャスト1時間。





大曲り。水俣乗越分岐。1時間半。

こんな感じになると、ババ平も近い。

ババ平のテント場には、新しいトイレが建設中だった。1時間50分。



槍見岩 2時間5分。

槍沢ロッジ。人影も少なく、静かだ。2時間10分。10分間休憩。


くもり空の下、下山の足を速める。



二の俣の橋


一の俣の橋




槍見河原 初めてここに来た時の、槍の穂先が木々の間から見えた感動は、青春の独特の味とともに覚えてる。



槍沢と本谷を隔てる尾根が高度を落とし、やがて末端となって、屏風岩がのぞくようになると、横尾もすぐだ。

谷の奥に、南岳がそびえる。


横尾。多くはないが、登山者で賑わっている。3時間20分。10分間休憩。
自動販売機で、缶コーヒーを買って飲む。山であまりしないことをしてしまった。

前穂高を見ながら、上高地へ向かう。
先はまだまだ、長いな。でも、この長丁場のラスト。黙々と足を進めるだけだ。


新村橋


徳沢園。シルバーウィークも中休みの平日。人影は、徳沢にしては少ないのだろう。4時間20分。5分休憩。






明神館。5時間10分。5分休憩。


当然ながら、明神岳を見上げる。

静かな道だ。上高地の静けさ。


梓川、河童橋と奥穂高、岳沢。よほど、存在感のある、絶景ポイント。
残念ながら、曇天の平板な光。

上高地バスターミナル。ついに、雨が降ってきた。出発して、6時間。
さて、徒歩の旅は終了だ。室堂から上高地。よく歩いたもんだよね、とは思うが、別に特別なことでもないし。
いつもの山の延長線だし、が正直な感想。
毎日、テントを出て、いつも歩くように、山を上り下りし、またテントに泊まり、再び、歩く。
その行為には、何の特別感もない。つなげただけ。
でもね、歩けるもんだよね。

30分ほど待ち、バスに乗る。
乗ったことのない、島々へのバス。今日は沢渡では降りない(笑)

1時間と少しの乗車で島々に着くと、すっかり、雨だ。
しばらく待って、松本への電車に乗る。地元の人が乗ってくると、日常生活感に支配され、少し戸惑う。

松本電鉄の電車は、30分で松本に着く。そこでJR大糸線に乗り換える。
信濃大町までは1時間かかる。

信濃大町駅。
雨の降りは本降りだ。

山の格好をして、扇沢へのバスに乗れば、これから登ると誰でも思うだろうが、そうではない。。。
いや、ほかにほとんど乗客はなく、運転手だけが、仕事でハンドルを握っている。

ざあざあ降りの中、35分で扇沢に。
振出しに戻ってきた。賑わっていた扇沢でなく、雨の中、人影はまばらな扇沢だ。


無料駐車場への歩行路を下っていく。傘がいる。

戻ってきた。
下山後、この車回収に、4時間、4480円かかった。。
ちなみに業者に車の回送を頼むと、1万円はくだらない。

坦々と走り、大町温泉豪へと向かう。
薬師の湯が今回の入浴場所だ。

室堂を雨具を着て出発し、ほどなく晴れた、この山旅のプロローグだったが、そのエピローグは、雨のぱらつきだした上高地バスターミナルへの到着だった。
普段では望むべくもない、6日間にわたるこの縦走期間すべての、雨なし好天。
ぎりぎり、6日間だけ雨がなく、天気の日々に、この山旅計画を完遂できたのは、幸運というほかはない。
計画した劔岳の一日を削って、結果は、絶好のお天気を絶好の日に割り当てられた。
劒へ行っていれば、槍ヶ岳への最後のアプローチは途中から雨降りだっただろう。それはきつい。
最大限に、存分に思いを遂げられた、感謝感謝。。
正直に言うと、確かに、よく成し遂げたなという満足感は強いが、先輩たちが、30‐40キロのキスリングの重さに耐え、
仲間と励ましあいながら、長躯、旅した当時の喜び、満足感には、及ばないのだなと、思う。
でも、発達した装備に頼らせてもらうが、また、次の夢回帰を、考えようと思う。
ミッション、コンプリート。
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