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23 2012

雪山三昧②・・久しぶりのハードな山だった南八ヶ岳・権現岳-編笠山

観音平入口から、結局10時間近くかけて、雪をかき分け、重荷を背負い、
青年小屋の冬季開放小屋にたどり着いたのですが、いろいろと調理して食べ、ドアの外の雪かき、
なんだかんだで9時半ころまで、雪融かして水作ったりして動き回っていました。

畳の上に銀マットをしき、そこに買ったばかりのマウンテンマジックのエアマット膨らませ、
シュラフカバーに突っ込んだダブルに重ねたシュラフを広げ、周囲の荷物を整理したら、
もう寝ることになりますが、
なんか、眠くない。

ラジオ聞いても、携帯でメールやwebやっても、あまり面白くもない。
翌日はアタックしなきゃ、なので寝ることにする。

でも、朝の天気は良くない予想。

一度寝ようとしたけれど、またコンロに火をつけて、餅入り雑炊作ったりして。


まあ、それでも3時間ずつくらい眠ったかな。

意外に気温が下がらず、全然寒くなかった。小屋の中で0度。外はマイナスだけれど。


4時ころから、起きだして朝飯のカレーうどん作って食べ、お茶入れて飲み、用を足しに外に出ると、
吹雪いている。。。

仕方なく、しばらくまたシュラフに入り込んで、うとうとする。

6時過ぎ、なんか寒くなってきた。温度計は確かに室内でもマイナスに。。
天気が良くなってきたのかな。

7時になってもまだ吹雪。これでは、もし権現岳へのトレースがついていたとしても、消えてるな。
淡い期待も消えたってことだ。

8時、ドアを少し開けて外を見ると、「おっ、青空!!」

吹雪は止んで、雲は去り、青い空が広がりつつある。

権現岳は強い風の雲の中だが、いずれ晴れそうだ。


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よし、行こうっ。

あわててサブザックに予定のものを突っ込む。
テルモスに暑いココアを満タンに。
ビバーク用の準備を最低限して、行動食などなど。
ストック2本とピッケル。アイゼンはザックに詰め、わかんを装着していく。


小屋を出ると、雲なんかなくなっている。風は強い。

冬季小屋から青年小屋の正面に出てみると、編笠山の岩のごろごろした斜面に出る。

トレースないし、編笠山にはどう登ったらいいのか、わからないな。


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早速、権現岳へと登りはじめる。

確かにワカンでトレースした後は見えるが、だいぶかき消されている。

ワカンはいて、ボコッ、ボコッともぐりながら、次第に斜面は急になっていく。

西に、御岳山が顕著な姿を見せている。


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南東方向に、富士山だ。右の山は、鳳凰三山の稜線。


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木々が、昨日からの吹雪で真白くなっている。

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きれいだ。

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真ん中、南アルプスは北岳。右は甲斐駒ケ岳。

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登り初めは、まだトレースを踏んでいける。

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斜面が急になると、前のトレースはほとんど見えなくなる。


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左から、北岳、甲斐駒ケ岳、仙丈岳。

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傾斜が急で、雪が吹きだまっていて、最後の急登が上がれない。。

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なんとか、稜線に乗ると、目の前に素晴らしい光景が広がった。

ギボシと、奥に権現岳。

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こうして見ると、距離的には近いんだろうけれど、ちっともすぐ行ける感じがしない。

トレースは全くない。どうルートとって、雪をかき分けていけばよいのだろう。

だいたい、夏道を知らない。


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振り返ると、眼下に、編笠山と、手前に青年小屋が見える。

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ギボシの険しい山容。

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権現小屋と頂上の岩峰。すぐ近くに見えるが・・

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とにかく、ノロシ場で雪稜の上に出て、雪の斜面をトラバースしつつ、トレースをつけていく。

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ここから、ギボシを右に巻いて行かなくてはならない。

いったいどこがルートなのか。

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雪の斜面は全くルートがなく、ワカンでラッセルするしかないが、ところどころクラストしていたり、凍結しているところがあり、それも急斜面なので、「必殺」わかんアイゼンの登場。


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深い雪のトラバースから、急斜面のクラストしたルートを辿って、ようやくギボシのトラバースの鎖場に出た。

つけたばかりのわかんは外さねばならない。

ここまで、結構やばかった。

鎖場へのルートが見えず、ぼろぼろの岩の斜面をあがったり、またクライムダウンしたりで、緊張した場面も。

なんどか、引き返そうかと考えたが、天気の安定と、時間はたっぷりあったから

少しずつでも、ルートの問題を解決して、進むことができた。


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ここから鎖場が続くが、ほとんどの鎖は雪の下や氷の中。

掘り出せるところは掘り出したが、凍っているところは、鎖の姿さえ見えず。。

アイゼンのツァッケのみを頼りにトラバースする場面も。



それでも、天気は最高、風もそれほど強くない。

目の前に、八ヶ岳の主峰群が展開する光景に出会う。

右から赤岳、横岳、硫黄岳、阿弥陀岳。すぐそこに見える。

雪の季節に何度もたどった山々だ。

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鎖のトラバースを終えると、ギボシの急斜面のトラバースが残っていた。

どこをどう行こうか迷ったが、権現小屋の上の稜線につなげるため、少々高い位置をトラバースした。

これは、結構えぐかった。

アイゼンで踏み込むと、すねくらいまで潜る雪を一歩、一歩踏み固め、ピッケルで確保しつつ、進んだ。

こうして振り返ってみると、結構な傾斜ですな…


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トラバースの終了のあたりから、権現小屋と頂上岩峰を見る。

後はあそこまで、稜線を辿ればいいのだ。

潜らないといいな。。


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でも、なんか行けそうだ。

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太陽は中天に。もう12時を回っている。赤岳が高い。

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案の定、少し潜るが、ラッセルというほどでもなく、アイゼンで稜線を辿っていき、赤岳からくる主稜線と出会うところまできた。

凍った指導標が見える。

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頂上は指呼の間だ。

赤岳から縦走してきて三つ頭に向かった人のトレースがついている。

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凍りついた、頂上岩峰。



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ここが頂上だ。


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振り返る。 よくあんなところにトレースつけてきたもんだ。

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しばし写真撮って、指導標まで戻り、昼食にした。

テルモスの熱いココアがうまい。





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こうしてみると、今日辿ってきたルートがほぼ見えている。夏だったら大した時間がかからないのだろう。

こちら側からは、キボシの岩場が見えないから余計やさしく見える。

手前は、閉鎖中の権現小屋の屋根。

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戻る道も、緊張感は変わらない。


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この垂れ下がったような雪の斜面はなんだ。気持ち悪い。。


この下は、鎖も隠れている凍ったトラバース。さっさと抜けねばならない。


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戻りの方が、気持ちの悪かったトラバースが良く見える。

ほとんどアイゼン頼りだった。

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権現方向に振りかえると、光の加減か、ルートは見にくいし、それほど危なく見えない。

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鎖場を抜けると、急な雪の斜面をどんどん下り、樹林帯に入る手前のノロシ場まで帰ってきた。

もう、あとは樹林の中を、雪を蹴散らして下るだけだ。

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帰ってきた。この小屋、安心の塊みたいに見える。


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帰着は15時半。

登り4時間半、下り2時間の行動だった。


この晩は、西岳から夏時間の三倍かかってラッセルしてきたという、パワフルな青年二人組も同宿となり、にぎやかな夜だった。


つづく。



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4 Comments

devilman  

俄歩人さんへ

いつもコメントありがとうございます。
八ヶ岳と言えば、だいたい決まったところにしか足を踏み入れないので、
今回は新たな地域に挑戦してみました。

編笠山までの日帰り往復をする人が結構いることと、逆にそれより北に踏み入れる人の少ないことを知りました。
無雪期にも来てみたくなりました。
青年小屋が営業しているときに、遠い酒場とやらにも。

春山は天候の周期が良く、あまり外さないので、厳冬期よりは成功率高いですよね。
それに、下山時の雰囲気がいいですし。

2012/03/25 (Sun) 02:45 | EDIT | REPLY |   

俄歩人  

ギボシ南面に描いたトレースが美しい

 青年小屋の冬期小屋をBCとした雪山ソロ行、
天候もよくご自分のトレースに納得しながらの登頂、まさに前日の苦労が
報われた権現岳行でしたね。
過ぎ去った若き日を想い出しながら、またひとつ充足の記録を胸に刻まれたようで
心から拍手を送ります。
 雪山を歩いてこそ コポコポと流れる雪解の水音に春を感じるのでしょう。

2012/03/24 (Sat) 23:28 | EDIT | REPLY |   

devilman  

くまさんへ

うん、ちょっと気合の入った山でしたね。
確かに体力は、鍛えていないから、あれですよね。。
心肺機能は毎週登山を近隣の山でも復活できるから何とかなるけれど、
重荷に対する歩荷力は、歩荷訓練しないと駄目ですよね。
まあ、辛いのはいつも初日だけなんだけどね。

三浦雄一郎はエベレストに登るために毎日20キロ担いで散歩していたそうだけど。

んー、トレーニングはいやだな。。

2012/03/24 (Sat) 05:00 | EDIT | REPLY |   

北海道のくま  

No title

お~~ だんだんと 昔の山屋へ 戻って行ってるのでは? 
 日曜日だけの 登山だけでは 体力的に 心配に なりそうな 登山では?
  楽しく 日ごろの トレーニングも してるのでは?

2012/03/23 (Fri) 18:32 | EDIT | REPLY |   

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