青年小屋の冬季開放小屋にたどり着いたのですが、いろいろと調理して食べ、ドアの外の雪かき、
なんだかんだで9時半ころまで、雪融かして水作ったりして動き回っていました。
畳の上に銀マットをしき、そこに買ったばかりのマウンテンマジックのエアマット膨らませ、
シュラフカバーに突っ込んだダブルに重ねたシュラフを広げ、周囲の荷物を整理したら、
もう寝ることになりますが、
なんか、眠くない。
ラジオ聞いても、携帯でメールやwebやっても、あまり面白くもない。
翌日はアタックしなきゃ、なので寝ることにする。
でも、朝の天気は良くない予想。
一度寝ようとしたけれど、またコンロに火をつけて、餅入り雑炊作ったりして。
まあ、それでも3時間ずつくらい眠ったかな。
意外に気温が下がらず、全然寒くなかった。小屋の中で0度。外はマイナスだけれど。
4時ころから、起きだして朝飯のカレーうどん作って食べ、お茶入れて飲み、用を足しに外に出ると、
吹雪いている。。。
仕方なく、しばらくまたシュラフに入り込んで、うとうとする。
6時過ぎ、なんか寒くなってきた。温度計は確かに室内でもマイナスに。。
天気が良くなってきたのかな。
7時になってもまだ吹雪。これでは、もし権現岳へのトレースがついていたとしても、消えてるな。
淡い期待も消えたってことだ。
8時、ドアを少し開けて外を見ると、「おっ、青空!!」
吹雪は止んで、雲は去り、青い空が広がりつつある。
権現岳は強い風の雲の中だが、いずれ晴れそうだ。

よし、行こうっ。
あわててサブザックに予定のものを突っ込む。
テルモスに暑いココアを満タンに。
ビバーク用の準備を最低限して、行動食などなど。
ストック2本とピッケル。アイゼンはザックに詰め、わかんを装着していく。
小屋を出ると、雲なんかなくなっている。風は強い。
冬季小屋から青年小屋の正面に出てみると、編笠山の岩のごろごろした斜面に出る。
トレースないし、編笠山にはどう登ったらいいのか、わからないな。

早速、権現岳へと登りはじめる。
確かにワカンでトレースした後は見えるが、だいぶかき消されている。
ワカンはいて、ボコッ、ボコッともぐりながら、次第に斜面は急になっていく。
西に、御岳山が顕著な姿を見せている。

南東方向に、富士山だ。右の山は、鳳凰三山の稜線。

木々が、昨日からの吹雪で真白くなっている。

きれいだ。



真ん中、南アルプスは北岳。右は甲斐駒ケ岳。

登り初めは、まだトレースを踏んでいける。

斜面が急になると、前のトレースはほとんど見えなくなる。

左から、北岳、甲斐駒ケ岳、仙丈岳。

傾斜が急で、雪が吹きだまっていて、最後の急登が上がれない。。

なんとか、稜線に乗ると、目の前に素晴らしい光景が広がった。
ギボシと、奥に権現岳。

こうして見ると、距離的には近いんだろうけれど、ちっともすぐ行ける感じがしない。
トレースは全くない。どうルートとって、雪をかき分けていけばよいのだろう。
だいたい、夏道を知らない。






振り返ると、眼下に、編笠山と、手前に青年小屋が見える。

ギボシの険しい山容。

権現小屋と頂上の岩峰。すぐ近くに見えるが・・

とにかく、ノロシ場で雪稜の上に出て、雪の斜面をトラバースしつつ、トレースをつけていく。

ここから、ギボシを右に巻いて行かなくてはならない。
いったいどこがルートなのか。

雪の斜面は全くルートがなく、ワカンでラッセルするしかないが、ところどころクラストしていたり、凍結しているところがあり、それも急斜面なので、「必殺」わかんアイゼンの登場。

深い雪のトラバースから、急斜面のクラストしたルートを辿って、ようやくギボシのトラバースの鎖場に出た。
つけたばかりのわかんは外さねばならない。
ここまで、結構やばかった。
鎖場へのルートが見えず、ぼろぼろの岩の斜面をあがったり、またクライムダウンしたりで、緊張した場面も。
なんどか、引き返そうかと考えたが、天気の安定と、時間はたっぷりあったから
少しずつでも、ルートの問題を解決して、進むことができた。

ここから鎖場が続くが、ほとんどの鎖は雪の下や氷の中。
掘り出せるところは掘り出したが、凍っているところは、鎖の姿さえ見えず。。
アイゼンのツァッケのみを頼りにトラバースする場面も。
それでも、天気は最高、風もそれほど強くない。
目の前に、八ヶ岳の主峰群が展開する光景に出会う。
右から赤岳、横岳、硫黄岳、阿弥陀岳。すぐそこに見える。
雪の季節に何度もたどった山々だ。

鎖のトラバースを終えると、ギボシの急斜面のトラバースが残っていた。
どこをどう行こうか迷ったが、権現小屋の上の稜線につなげるため、少々高い位置をトラバースした。
これは、結構えぐかった。
アイゼンで踏み込むと、すねくらいまで潜る雪を一歩、一歩踏み固め、ピッケルで確保しつつ、進んだ。
こうして振り返ってみると、結構な傾斜ですな…

トラバースの終了のあたりから、権現小屋と頂上岩峰を見る。
後はあそこまで、稜線を辿ればいいのだ。
潜らないといいな。。

でも、なんか行けそうだ。

太陽は中天に。もう12時を回っている。赤岳が高い。

案の定、少し潜るが、ラッセルというほどでもなく、アイゼンで稜線を辿っていき、赤岳からくる主稜線と出会うところまできた。
凍った指導標が見える。

頂上は指呼の間だ。
赤岳から縦走してきて三つ頭に向かった人のトレースがついている。


凍りついた、頂上岩峰。

ここが頂上だ。


振り返る。 よくあんなところにトレースつけてきたもんだ。

しばし写真撮って、指導標まで戻り、昼食にした。
テルモスの熱いココアがうまい。

こうしてみると、今日辿ってきたルートがほぼ見えている。夏だったら大した時間がかからないのだろう。
こちら側からは、キボシの岩場が見えないから余計やさしく見える。
手前は、閉鎖中の権現小屋の屋根。

戻る道も、緊張感は変わらない。

この垂れ下がったような雪の斜面はなんだ。気持ち悪い。。
この下は、鎖も隠れている凍ったトラバース。さっさと抜けねばならない。


戻りの方が、気持ちの悪かったトラバースが良く見える。
ほとんどアイゼン頼りだった。

権現方向に振りかえると、光の加減か、ルートは見にくいし、それほど危なく見えない。

鎖場を抜けると、急な雪の斜面をどんどん下り、樹林帯に入る手前のノロシ場まで帰ってきた。
もう、あとは樹林の中を、雪を蹴散らして下るだけだ。

帰ってきた。この小屋、安心の塊みたいに見える。

帰着は15時半。
登り4時間半、下り2時間の行動だった。
この晩は、西岳から夏時間の三倍かかってラッセルしてきたという、パワフルな青年二人組も同宿となり、にぎやかな夜だった。
つづく。
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