前日、高速を走りながら気づいてしまった。
その日は、予定外ではあったけれど、群馬の榛名山麓の湧水を汲み、赤城山麓のリンゴ園でリンゴを買いに行ったのだけど、関越道から見えたのは、白銀に輝く谷川岳。
計画は、上州武尊 → 白毛門・朝日岳 → 谷川岳 と、どんどん変更。
結局、土合駅からロープウェイ駅まで歩き、ロープウェイで天神平、そこから谷川岳を往復するという
楽ちんコースに決定したものの、積雪とトレースが気になっていた。
楽ちんコースではなくなるからだ。
地元の駅からJRに一番早く乗っても、土合駅着は八時半ころ。
途中二回も乗り換える。
それにしても、水上のあたりの紅葉はきれいだった。

三両編成の上越線で、北に向かう。列車は長岡行き。
ちなみに、SUICAは、なんと水上以北では使えない。
ここで精算。。。

水上の次の湯檜曽、そして下車駅の土合は、いずれもトンネルの中の駅。

ずいぶん前のテレビで谷川岳の登山者のルポを見たことがあるが、その時に紹介されていた、
なんと、地上の駅舎までの長ーい,階段。。 総計、482段。
山登りの準備運動にしては、きつすぎ。

462段、やったーっと思いきや。。

さらにこの先に、延々と廊下が続き、あと20段くらい追加がある。

やっと改札を出たと思ったら、無人駅。
登山届を出すけれど、売店も閉まっているし、人もいない。
だいたい、降りたのは自分含めて二名だけ。
登山以外に、ここで降りる理由はない。
最近は新幹線の上毛高原駅からバスで谷川岳に入る人も多いのだろう。
この時刻表で、駅の性格がよくわかる。
帰りは二本しかチャンスはない。

駅舎を出ると、登山宿舎が一軒あるだけ。

一応デザインされた駅舎だが、今となっては寂れた感は強い。
背後に、白毛門の白い峰が。。
空は快晴。午後まで持つかは、心配。

山に向かう途中から、土合駅を振り返る。
ちなみに、上りホームは地上にある。
つまり上越国境の清水トンネルは、ループ式で有名だが、上りと下りは、別々のトンネルとなっている。

10分ほど舗装道路を上って、ロープウェイの土合口駅に着く。
なんか、祝日なのに、やけに人がいない。

ロープウェイというよりゴンドラ。ケーブルが二本なのが特徴とか。
一般の観光客がチラホラ。
15分ほどで天神平につく。
スキー場だが、滑っている人はいない。
長靴を無償で貸してくれるらしく、観光客は、長靴を借りて散策している。
あるいはもう一本リフトに乗り、尾根の上まで上がることができる。

確信はないが、見えているのが、目指すオキの耳、トマの耳、谷川岳の双耳峰だろう。。
それにしても、空が青い。

リフトを迂回し、トラバース道を尾根へ向かう。

積雪はかなり多い。
ロープウェイ下の歩道が分岐する。ここを下っても土合口駅に降りることができる。
数日前のトレースがある。

東側に、白毛門、笠が岳、朝日岳が、白く見えている。
あちらに登っても、相当な積雪だろう。

目指す谷川岳。

まだ、ここは、尾根の北側をトラバースしていく道。
ただ、歩き始めから、なんとなく足元が不安定な気がしてしょうがない。
久しぶりの深雪、というわけでもないはずだが、どうも、15年ぶりくらいに履いた、思い登山靴のせいのような気がする。
実は、なんだかんだで本格的な雪山からしばらく遠ざかっていて、当時、プラブーツではなく革製の登山靴を
冬用に買い替えたものだが、サイズがどうしたわけか、大きすぎる。
そして、えらく重い。
それでも、キックステップでそれなりにペースよく登って行った。
それが無理し過ぎ・・だったのかもしれない。


特徴的な台形の山は、吾妻耶山。その背後は榛名山。

尾根が近づいてきた。

遠望は、尾瀬をめぐる山々、平が岳あたりか。。

熊穴沢避難小屋がみえた。

きれいな小屋。中で休憩できる。

ここでは休まずに行く。
小屋のすぐ裏に、いわお新道の下り口がある。

尾根に出たが、快晴で、あまり風もない。
しかし、見上げると、高層では風が強いみたいだ。
谷川岳は天候の急変が多いというが、今日の天気図では、どうなのだろう。
背後はオジカ沢の頭か。

冬の前だというのに、木々には、春の芽吹きの準備ができているみたい。

左の雪をかぶった山は、至仏山だが、燧岳もちょっと顔をのぞかせている。

上州武尊山は、当初登ろうと思っていた山。見たところ、雪は多くなさそうだ。
あちらの方が谷川岳より標高が高いが、雪は少ない。
谷川岳は、本州背稜にあたるため、裏日本の大気と表日本の大気がもろにぶつかるところ。
冬型であれば、大量の降雪があってしかるべき。

熊穴沢避難小屋から、なかなか距離が遠くならない。
相当な急登を登っている。

天気は穏やか。
右に高い山は、浅間山。


遠い山は、仙ノ倉山なのだろうか。。

鎖場やザイルを張った急なのぼりが続くと、いよいよ足が不具合になってきた。
つりかけたりする。両足ともだ。
日差しで雪が融け、岩場の登りが腐り始めていると、一層足場が安定しない。
いつもなら、あまり苦にしないのだが、どうも靴が勝手違う。
傾斜の緩くなったところで、アイゼンを付けた。
つけなくても登れそうで、つけている人とそうでない人のいずれもがいる。
ただし、人がそう多いわけではない。

どうも、ペースも上がらない。
足が重く、雪の中に座り込んで足を休めるが、あまり効果はない。
いつもの軽快さがないのは、靴のせいか、足のせいか。。

うーん、なんとも。。

頂上は、ほとんど見えている。
谷川岳で特徴の、指導標のポールまで見えている。
見えてはいないが、あそこから奥に少し登ったあたりが頂上なのだろう。
広く見える斜面を30-40分くらいか。。

少し雲ができて、風も強くなりそうな気がする。
なんか、考えがすべてネガティブになってきた。
無理してだましだまし登っても、降りてこられない気もしてきた。
調子の悪い時は、調子の悪い時だ。
しょーがない、また来ればいいや。。

しばらく、足を休め、ゆっくり下り始める。
天気はちっとも悪くならない。
腐った雪の岩場の下りはいやなものだが、アイゼンつけているので、脇の積雪を下っていく。
引き返し点は、天狗のたまり場とかいうらしいが、ゆっくり40分くらいかけて、避難小屋まで下った。
避難小屋に入り、おでんを温めて食べた。
アツアツは、やはりうまい。
何人か、同じように昼食をとっている人たちもいたが、みんな頂上をきわめての帰りの人たちだ。
満足そうな表情だ。
あまり、悔しくも、うらやましくも思わないのは、なんでかな。。
意外に、またいけそうに感じているからかな。

天神平への巻き道を、淡々と下る。

春先には結構滑落事故もあるという、危険箇所。

振り返る、谷川岳頂上。
見えているスロープだけが、今回残してしまった部分だ。
この季節にやり直さなくてはな。。

避難小屋からの下りで前後したのが、「谷川岳3000回登頂」と、帽子とジャケットに書いて登っていた方。
写真を撮らせていただいた。

ザックには、奥さまの名前も。「○○子一番、谷川岳二番」と書かれている。
ちゃんと配慮している。

ケロヨンが二匹ついているのが笑えるが、ご本人は真剣。
ちなみに、今回は2765回目だそうで、ザックとジャケットの前にカウンターのように表示されている。
毎回、両面テープで何回目というのを張るそうだ。
地元に引っ越してこられ、ほとんど毎日のように登られるとのこと。
48歳から始め、30年登り続けているとのこと。お元気だ。
途中交通事故にあわれたり、手術をされたりで、平坦ではなかったとのことだが、まだまだ頑張られると。
終わったら、何もなくなってしまうんですよ。。とか。
ちなみに奥様も、無雪期には登られるそうだ。
「あしたは登れるかな・・」とおっしゃっていたが、全然力が入っていない、自然な口調だった。
長年続けてこられた山登りも、もう自然体で、飄々としておられる。
足元を見ると、登山靴ではなく、作業用の長靴。


ロープウェイまで帰ってきた。
出発後すぐに追い抜いて行った若い女性の単独行者が、すいっとまた抜いて行き、レストランの方に行ってしまった。
頂上まで行ったことだろうな。
慣れた感じの彼女も、3000回の方と同様、いつもの山、のようだ。
この山が、そんな山にできればいいな、と思った。
土合駅の上りホームは地上。
使うことがなかったピッケルを、また近々使ってやらなくちゃね。。


のんびり帰りますか。。
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実は、2-3日たつと、絶対リベンジしたくなってきた。
本当は行けたんじゃないか、とかね。
んーっ、何としても積雪期に谷川岳は登ってやらなくちゃ、だ。
その上で、無雪期も、ここは相当楽しめそうだ。
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