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28 2011

大快晴のもと、駆け歩きの槍ヶ岳・天狗池~その②

さて、この日のことをイメージしてきたのに、その対象者が下山してしまい、モチベーションが、

一時的に、どんと下がってしまった。


思えば、昨年の九月初め、ちょうど剣岳から帰ってきたころだったが、仕事中に、

同僚である彼女が、「山に行かれるんですか?」と突然聞いてきた。

それから、とんとんと、「槍ヶ岳に行きたいんです。」という話になり、

10月、体育の日の連休、決行することになった。

けれども、結局天候が悪く、出発を一日ずらさざるを得ず、

日程が減ったので八ヶ岳に。
http://cb250rsz.blog104.fc2.com/blog-entry-947.html

それは大快晴になったものの、希望の槍ヶ岳は果たせず、一年待つこととなった。

で、今回、満を持して決行・・となったものの、本人の体調不良。。

一番恐れていた天候ではなく・・・

さぞや悔しく、惜しいことと思うが、仕方ない。


何とか実現させてやろうという気持ちが強かったが、こういう事態は、予想をしていなかった。

そのせいか、この山行の目的自体が空虚になった感覚があった。

なんとなく、どうしようかな・・という感じ。



内緒でクーラーバックに詰めて持ってきたスライスした肉や、お汁粉、おもち、おでんなどなど。。

どうしようか。

楽しませようとした人たちが降りてしまった。

5人でワイワイにぎやかに食事を楽しもうと思っていたのにね。。

残った二人で食べるには多すぎる。


テント泊を見学させようと、自分一人はテント泊のつもりで、テントを担いできたが、それもいらなくなりそう。

重いから、いっそ置いていきたい。





でも、目の前には、もう一人、この山を心待ちにしていたBくんが。。。

そうか、やめるわけにはいかない。


彼は絶好調のよう。

それに、天気は絶好。

とりあえず、前に進むしかない。。


背中を押すモチベーションのないまま、歩き出す。


こんな感じ、初めてだ。


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ほどなく、槍沢ロッジ到着。

このルートは、高校一年の合宿以来。幾星霜を経て、記憶のかなただ。。


てなことも、今はうつろだ。


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何か口に入れようと、昼食とする。


気力が萎えたというのを感じるのは、まさしく、テントを持ち上げる気がなくなっていること。

殺生ヒュッテまでのぼり、みんなは小屋に素泊まりで泊り、自分だけはテントを張ろうと思っていたが・・・



そうだ、馬場平にテント張り、二人で不要のものを置いていくことにしよう、と勝手に決めた。



ロッジを出発すると、すぐそこに、プロミナが置いてある。


槍の穂先が見えるのだ。


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こんないい天気。


そうだよね、登らなきゃ。


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大岩に「槍見」と書いてある。

この岩に上ると槍が見えるらしい。

そんなことより、先に行く。

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空は青く澄み、木々に実が実り、秋が押し寄せてくる。



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赤沢岩小屋の標識を通過。


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ロッジから30分で馬場平のテント場につく。

隙間もないくらい、テントが張られている中、水場の隣が空いていた。


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急いで、Puromonteを張ってしまう。

翌日の行動までに必要なものだけ持ち、あとはテントに置く。

たいして置いていくものはなかったが。

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重さはあまり変わらなかったが、テントと着換えを出した分、ザックの高さは少し低くなった。


ここから、槍沢をさらに詰め、いよいよモレーンの台地を越えなくてはならない。


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風は涼しいが、照りつける陽射しは暑い。


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大曲り着。

東鎌尾根の水俣乗越への道が分岐する。

ここを登って東鎌尾根を槍に向かう手もある。

いつか試したい。

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沢を渡って行く。

普段は単独なので、自分の映っている写真は、ピークで記念写真以外ありえないが、

今回は、同行者の撮った写真がある。(先行する赤いシャツの方は、別の単独行者)

自分の登山姿って、こんなんなんだ・・・

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いよいよ、右側に、辿るべきモレーン台地の草付が見えてきた。


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赤沢山の切り立った斜面が圧倒的。


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ここを越えていけば、槍の穂が見えるはずだ。

でも、ここが難関。



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上から軽快に降りてきた、トレランの方。

「上高地はこちらですか?」と聞かれた。


違ったらどうするのだろう。。



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腰落ち着けて登るしかない。

結構、搾り取られる。

同僚はあとで、「心が折れそうになりました。」と言っていたが、

こちらも、苦しかった。

ジグザグにつけられた道を、黙々と高度を上げていく。

仮眠を2時間しかできなかったのが、が効いてくる。



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30分に一本立てる。


思わず、まどろんでしまう。

一瞬なのかもしれないが、夢まで見た。

と、そんな短時間の眠りだったが、


その眠りの後、突然、力がよみがえってきた。

あらあら。。


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高度を上げた甲斐がある。

常念岳が、赤沢山の向こうに顔を出した。


この姿が全部見える高さまで、登らねばならない。


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頑張った甲斐があり、道はジグザグから水平にトラバースを始めた。

モレーン台地を登り切ったようだ。


ここから、谷を横断し、右岸側にシフトする。



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トラバースの先に、水場が見える。

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谷を横断中、ついに、槍穂が見えたっ。


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水場。 大休止。


水をくむ。



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ここから見る槍の穂先の存在感は大きい。

ずっしりとした重さを感じる。


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大勢の人たちが、行き交う。

街中のような雰囲気すらある。


この天気、さぞや穂先は1日中混んでいるのだろう。


ちなみに、下は、槍ヶ岳山荘のホームページからお借りしたライブカメラの映像。

この行列、見て。すごい。


殺生ヒュッテについた後、上から降りてきた方々が、基部から頂上まで2時間だったとか、話しているのが聞こえた。

さもありなん。



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順調に高度があがる。

ヒュッテ大槍分岐。



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槍ヶ岳開山の播龍上人が籠った「坊主岩小屋」。

最近は、播隆窟というらしい。


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播隆窟と槍ヶ岳。


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振り返る。

高くなった常念岳、そして登ってきた槍沢の圏谷。



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めざす殺生ヒュッテは、もう指呼の間だ。


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ヒュッテへの最後の石の道をあがる。

天空の道って感じだ。


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到着した殺生ヒュッテ前から、槍の穂先を見上げる。 なんとか、15時前に着いた。

まさしく、この小屋、登山小屋、の感がある。


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テント場の様子。


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さてさて、お疲れのお食事だ。


小屋泊りの自炊はひさしぶり。


お汁粉に餅を入れて煮る。


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そして、5人分持ってきた豚肉のソテー。

若い同僚が三枚、僕は二枚食べた。

フライパンも持ってきたのだ。



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そしてマカロニグラタンを調理中。

オーブンで焼かなくても、グラタン風になるらしい。。



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ヒュッテ内部。


今どきの整備された小屋とは、少し違う。

最近の山小屋は、下手すると自宅よりきれいだったりするが、ここは素朴に、山小屋らしい。

それほど混んでなく、一人一畳、布団一組が維持されている。


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小屋の受け付けもこんな感じ。


早く寝て、いよいよ明日朝早く、登頂だ。


天気が持ってくれればよいな。

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9 Comments

devilman  

Mikiさんへ

下りてきた人が言っていた二時間待ちというのは、この写真見て納得としました。
出しかに、あの日は登っている最中に、下りてくる人がやたらに多かったですから、いかに人が上にいたか、ですよね。でも、いくら待っていても、最高の天気、展望で、文句ないんじゃないですかね。
槍は超人気一番のスポットですから、これはこれでよいのでしょう。
中央アルプス、正解だったんじゃないでしょうか。

2011/10/07 (Fri) 02:00 | EDIT | REPLY |   

Miki@宵の明星  

すごい人!

24日、こんなに混んでたんですねー!!
同じ日、中央アルプス縦走中の私は2時間位、誰とも会いませんでした^^;
しかし混んでいるとわかっていても、槍の迫力はすごいですね!
やっぱり一度登ってみたいです。
豪華なご飯も参考になりました。
でも自分でできるかは・・?笑

2011/10/06 (Thu) 15:06 | EDIT | REPLY |   

devilman  

ブルさんへ

なにをおっしゃいます。。

ブルさんだったら、まず「カツカレー」から
山で実現されたらいかがかと思いますよ。
ほかほかご飯炊いて、温めたカレーやカツをのせたら
超うまそうですよね。

「・・・を食べる」をテーマに登るってこともありますからね。

2011/10/01 (Sat) 05:23 | EDIT | REPLY |   

devilman  

aiさんへ 

おっしゃるとおりで、いつも安房トンネルぬけて新穂高を起点しているのも、
上高地のロングアプローチが嫌だから、です。
今回、高校生以来の上高地→槍沢ルートを辿ることになりましたが、
歩きやすいけれども、平らな道が四時間近く続くのは、「ひたすら」感が強いです。
確かに、聳え立つ明神岳や前穂高岳を見上げながら、また目に優しい、奥深い森林や、徳沢や横尾のテント場の空間は、心を癒してくれるのですが・・

七月の奥穂や今回で、上高地ルートの「いやだ」感は薄れた感じはあるので、また行くかもしれません。
特に、徳沢や横尾にテント張り、周囲の山に登る何日かを過ごしてみたいとは思い始めていますが。
それに、これまで候補として二の次、三の次にしていた表銀座や蝶、常念山脈を、「槍穂高を眺める」をテーマに登りたくなっているので、徳沢や横尾はポイントかもしれないな、と思っています。(aiさんご姉妹の燕-常念縦走記も大変刺激になりました。)

2011/10/01 (Sat) 05:21 | EDIT | REPLY |   

devilman  

俄歩人さんへ

心境を慮っていただき、大変恐れ入ります。
同僚は、本当に気の毒な事でした。
仕事に追われ、夏の間はなかなか時間が取れなかった末、
やっと山に入れたものの、退却せざるを得ないとは、
言葉も掛けにくい状況です。
でも、こういう経験は積み重ねていかなければ、ならないことですよね。

肩の小屋は、前日の夜は一人あたりのスペースが幅25センチだったとの話もあったとか。
下山してくる人の数も半端じゃなかったですし。
あれだけ大きな山小屋がそんな混雑とは、槍ヶ岳の人気がわかります。

そんな意味でも、殺生ヒュッテの位置は、玄人好みな感じがし、好ましく思っています。

俄歩人さんも、本当にいろいろと足跡を残されているようで、
私も追いつけるよう、これから努力して積み上げていきたいと思っています。
特に、奥又の池など、これからの課題です。
今後とも、いろいろとご指導をよろしくお願いいたします。

2011/10/01 (Sat) 05:04 | EDIT | REPLY |   

ブル  

No title

こんばんは。
山の食事はいつもラーメンかおにぎりなのですが、
お肉、おいしそうです。

自分も連れて行ってもらいたいなと
思いました(笑

2011/09/30 (Fri) 21:32 | EDIT | REPLY |   

ai  

No title

モチベーションが切れた後に槍沢を登りつめるのは・・・
想像しただけで辛いです (-_-;)

私達は飛騨沢のルートしか知らないのですが、上高地からのルートは
かなり距離があって辛そうなイメージ。
実際 歩かれるとどうですか?
上高地を歩くと、横尾までの平坦な道が長く感じられて仕方ないんです。 ^-^;

それにしても美味しそうな食事ですね♪
サプライズでこんな素敵な食事が出てきたら感激します ^^
同僚の方々、本当に残念でしたね。。。
devilmanさんの心遣い 温かいなあ (*´∀`*)

2011/09/30 (Fri) 20:57 | EDIT | REPLY |   

俄歩人  

追伸

 山をこよなく愛し、よく知る方の山行記、これからも雪山を
歩かれることも多いことと拝察します。
貴ブログを拙ブログにリンクさせていただきたく
お願いいたします。
 いつもいただくコメントにdevilmanさんのURL表示がなく
同好の方々から問い合わせを戴くこともあります。
どうぞよろしくお願いいたします。(俄歩人)

2011/09/30 (Fri) 13:54 | EDIT | REPLY |   

俄歩人  

最終レポが待たれます

 こんにちは
 お若い仕事仲間の方に信頼され 頼まれた峰を案内する
しかも より楽しめる工夫を凝らすdevilmanさん、
優しく思いやりのある山男像が浮かんできます。

 それにしても 「下山にしてはやけに陽気な三人を見送る」
このフレーズにdevilmanさんの心境が・・・。

 前穂の東壁、奥又白の池畔から仰いだことが想い出されましたし、
懐かしのヒュッテ大槍や殺生ヒュッテ、最近は皆、肩の小屋に
流れ、静かなようで感慨をあらたにしました。

2011/09/30 (Fri) 11:36 | EDIT | REPLY |   

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