一時的に、どんと下がってしまった。
思えば、昨年の九月初め、ちょうど剣岳から帰ってきたころだったが、仕事中に、
同僚である彼女が、「山に行かれるんですか?」と突然聞いてきた。
それから、とんとんと、「槍ヶ岳に行きたいんです。」という話になり、
10月、体育の日の連休、決行することになった。
けれども、結局天候が悪く、出発を一日ずらさざるを得ず、
日程が減ったので八ヶ岳に。
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それは大快晴になったものの、希望の槍ヶ岳は果たせず、一年待つこととなった。
で、今回、満を持して決行・・となったものの、本人の体調不良。。
一番恐れていた天候ではなく・・・
さぞや悔しく、惜しいことと思うが、仕方ない。
何とか実現させてやろうという気持ちが強かったが、こういう事態は、予想をしていなかった。
そのせいか、この山行の目的自体が空虚になった感覚があった。
なんとなく、どうしようかな・・という感じ。
内緒でクーラーバックに詰めて持ってきたスライスした肉や、お汁粉、おもち、おでんなどなど。。
どうしようか。
楽しませようとした人たちが降りてしまった。
5人でワイワイにぎやかに食事を楽しもうと思っていたのにね。。
残った二人で食べるには多すぎる。
テント泊を見学させようと、自分一人はテント泊のつもりで、テントを担いできたが、それもいらなくなりそう。
重いから、いっそ置いていきたい。
でも、目の前には、もう一人、この山を心待ちにしていたBくんが。。。
そうか、やめるわけにはいかない。
彼は絶好調のよう。
それに、天気は絶好。
とりあえず、前に進むしかない。。
背中を押すモチベーションのないまま、歩き出す。
こんな感じ、初めてだ。

ほどなく、槍沢ロッジ到着。
このルートは、高校一年の合宿以来。幾星霜を経て、記憶のかなただ。。
てなことも、今はうつろだ。


何か口に入れようと、昼食とする。
気力が萎えたというのを感じるのは、まさしく、テントを持ち上げる気がなくなっていること。
殺生ヒュッテまでのぼり、みんなは小屋に素泊まりで泊り、自分だけはテントを張ろうと思っていたが・・・
そうだ、馬場平にテント張り、二人で不要のものを置いていくことにしよう、と勝手に決めた。
ロッジを出発すると、すぐそこに、プロミナが置いてある。
槍の穂先が見えるのだ。



こんないい天気。
そうだよね、登らなきゃ。

大岩に「槍見」と書いてある。
この岩に上ると槍が見えるらしい。
そんなことより、先に行く。


空は青く澄み、木々に実が実り、秋が押し寄せてくる。



赤沢岩小屋の標識を通過。

ロッジから30分で馬場平のテント場につく。
隙間もないくらい、テントが張られている中、水場の隣が空いていた。

急いで、Puromonteを張ってしまう。
翌日の行動までに必要なものだけ持ち、あとはテントに置く。
たいして置いていくものはなかったが。

重さはあまり変わらなかったが、テントと着換えを出した分、ザックの高さは少し低くなった。
ここから、槍沢をさらに詰め、いよいよモレーンの台地を越えなくてはならない。

風は涼しいが、照りつける陽射しは暑い。

大曲り着。
東鎌尾根の水俣乗越への道が分岐する。
ここを登って東鎌尾根を槍に向かう手もある。
いつか試したい。

沢を渡って行く。
普段は単独なので、自分の映っている写真は、ピークで記念写真以外ありえないが、
今回は、同行者の撮った写真がある。(先行する赤いシャツの方は、別の単独行者)
自分の登山姿って、こんなんなんだ・・・

いよいよ、右側に、辿るべきモレーン台地の草付が見えてきた。



赤沢山の切り立った斜面が圧倒的。


ここを越えていけば、槍の穂が見えるはずだ。
でも、ここが難関。

上から軽快に降りてきた、トレランの方。
「上高地はこちらですか?」と聞かれた。
違ったらどうするのだろう。。


腰落ち着けて登るしかない。
結構、搾り取られる。
同僚はあとで、「心が折れそうになりました。」と言っていたが、
こちらも、苦しかった。
ジグザグにつけられた道を、黙々と高度を上げていく。
仮眠を2時間しかできなかったのが、が効いてくる。

30分に一本立てる。
思わず、まどろんでしまう。
一瞬なのかもしれないが、夢まで見た。
と、そんな短時間の眠りだったが、
その眠りの後、突然、力がよみがえってきた。
あらあら。。

高度を上げた甲斐がある。
常念岳が、赤沢山の向こうに顔を出した。
この姿が全部見える高さまで、登らねばならない。

頑張った甲斐があり、道はジグザグから水平にトラバースを始めた。
モレーン台地を登り切ったようだ。
ここから、谷を横断し、右岸側にシフトする。

トラバースの先に、水場が見える。

谷を横断中、ついに、槍穂が見えたっ。

水場。 大休止。
水をくむ。

ここから見る槍の穂先の存在感は大きい。
ずっしりとした重さを感じる。


大勢の人たちが、行き交う。
街中のような雰囲気すらある。
この天気、さぞや穂先は1日中混んでいるのだろう。
ちなみに、下は、槍ヶ岳山荘のホームページからお借りしたライブカメラの映像。
この行列、見て。すごい。
殺生ヒュッテについた後、上から降りてきた方々が、基部から頂上まで2時間だったとか、話しているのが聞こえた。
さもありなん。

順調に高度があがる。
ヒュッテ大槍分岐。

槍ヶ岳開山の播龍上人が籠った「坊主岩小屋」。
最近は、播隆窟というらしい。

播隆窟と槍ヶ岳。

振り返る。
高くなった常念岳、そして登ってきた槍沢の圏谷。

めざす殺生ヒュッテは、もう指呼の間だ。


ヒュッテへの最後の石の道をあがる。
天空の道って感じだ。

到着した殺生ヒュッテ前から、槍の穂先を見上げる。 なんとか、15時前に着いた。
まさしく、この小屋、登山小屋、の感がある。

テント場の様子。

さてさて、お疲れのお食事だ。
小屋泊りの自炊はひさしぶり。
お汁粉に餅を入れて煮る。

そして、5人分持ってきた豚肉のソテー。
若い同僚が三枚、僕は二枚食べた。
フライパンも持ってきたのだ。

そしてマカロニグラタンを調理中。
オーブンで焼かなくても、グラタン風になるらしい。。

ヒュッテ内部。
今どきの整備された小屋とは、少し違う。
最近の山小屋は、下手すると自宅よりきれいだったりするが、ここは素朴に、山小屋らしい。
それほど混んでなく、一人一畳、布団一組が維持されている。

小屋の受け付けもこんな感じ。
早く寝て、いよいよ明日朝早く、登頂だ。
天気が持ってくれればよいな。

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